うまくことばにできない。

旅と本と頭の中を書き出します。

だから僕はハンカチを持つ

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僕は普段、ハンカチを持ち歩く。

 

小学生の頃は、半ズボンのポケットに同じハンカチを1週間入れっぱなし。

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全然使ってないけど、くしゃくしゃ。

お母さんに「ハンカチ洗濯だした?」って言われて、なんとなく洗濯機に投げ込む。

 

月曜日、使われないだろうに、綺麗なハンカチはまた半ズボンのポケットに入る。

 

 

僕がハンカチを持ち歩くようになったのは2年ほど前から。

 

「仕事ができる人はなぜハンカチを2枚持っているのか?」

という本を読んではいないが、タイトルを見て勝手に考えた。

 

ハンカチを使う機会は、手を洗ったあと。だけだとは思えなかった。

 

時は遡って小学4年生。

 

同級生の友達が、教室隅の窓枠のサッシで指を切った。

血が出ていた。

世話焼きな僕はハンカチを絆創膏のかわりにして、友達の指の血を拭いて、巻きつけて縛ってやった。

ティッシュでいいやん、という意見は受け付けていない。

1週間もハンカチをポケットに入れっぱなしな僕が、ティッシュなど持ち合わせてるはずがない。

そもそも、1週間もポケットの中で眠っているハンカチで応急処置をすること自体、疑問だが、まぁそれはいいとしよう。

子供なりの優しさだから。

 

手を切った友達は保健室に連れて行った。

保健の先生にハンカチは捨てられた。

「手当してくれてありがとう。ハンカチに血が付いちゃたからね。捨てるね。」

ポイッ。

あ、そういうものなのか。

なんて思いながら、僕は全く後悔などなく、犠牲を払ってまで友達を救ったヒーローのような気分を味っていた。

 

この時から、僕にとってハンカチは、ただの布切れからヒーローになるためのアイテムに昇格した。

 

ハンカチ、すごいじゃん。

 

時は一気に飛んで、大学生に。

 

僕は、田舎の中学、高校に通っていたので、都内のおしゃれな学生のように、カフェに行ったり、友達とご飯を食べにいく、なんてことはなかった。

 

でも、大学生になってその時は訪れた。

友達とご飯に行く機会が増えた。

 

席につく。

店員さんがテーブルを拭いた後、少し湿って水滴が目立つ。

ちょっとベタベタしてる。

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10年の時を超えて小学生の時の記憶が蘇ってきた。

「おい、出番じゃないのか!ハンカチ!テーブル拭こうや!」

 

お前ってやつは。大事な時にいないんだな。

僕はハンカチを持ち合わせていなかった。

 

この時から僕にとってのハンカチが、ジェントルマンになるためのアイテムになった。

 

思い返せばいろいろと活躍の機会はあったようだ。

 

好きな子とのデート、地面に座る時のレジャーシート代わりに引いてあげたり、

カフェでドリンクを置くコースターにしたり、

可愛いハンカチを出せば話題にもなる。

なんなら、ハンカチで手を拭くだけでちょっと清潔感あるように見えたり。

 

 

僕にとってハンカチは、僕をちょっとだけ紳士にしてくれる大事なアイテムだ。

 

持っているだけで、僕の心に少しの余裕ができる。

 

2枚も持つほどマメではないけれど、1枚くらい持っていると、カッコつけて紳士になる自信がつく。

 

かっこよくおしゃれなんて出来ないけど、ハンカチ持つくらいならまぁいいか。

 

と、こんな感じ。

 

だから今日も僕はハンカチという、普通の僕よりほんのちょっとだけ輝く可能性を持って外へ出る。

 

僕だけの隠しアイテムにしておきたいから、できればみんなには持ってほしくない。